はじめに

おしらせ

 お酒で問題を抱えている方へ

 アルコールは世の中にあふれています。コンビニやスーパーに行けば、すぐに手に入る嗜好品です。職場の仲間との交流、親しい友人との交流、冠婚葬祭など人生のいろいろな場面でお酒に接する機会があります。楽しい思い出も悲しい思い出もお酒とともに過ごしてきた方も多いかと思います。

 多くの方は、お酒による問題を生じずに日常生活を過ごすことができますが、お酒のせいで、自分の体を壊し、職場や家族の中の人間関係に問題を抱え、病気で命を失ったり、自死をしてしまう方がいます。

 お酒の問題を抱えていない方は、「酒を飲んでも、自分で量をコントロールすればいいだろう」「体が悪くなったのなら、自分の意思でやめたらいいのではないか」と批判されるかもしれません。

 アルコールの診療を行っている中で私がよく感じるのは、本当にたくさんのアルコール依存症の患者さんがいてお酒をやめるということは、本当に過酷な挑戦であり、やめられない場合は悲惨な人生を送る方が多いということです。

 私が研修医だったころ、20代の男性がひどい黄疸で入院してきました。ウィルス感染症は認めず急性のアルコール性肝炎と診断しました。血中のビリルビンもとても高値で肝臓はぎりぎりの状態でした。最初は意識もあり会話もできました。いろいろできることはしましたが1週間ほどでその方は亡くなってしまいました。私はそれまでこれほど若い方を看取ることはなかったため、医師として忸怩たる思いを感じました。お母様は「家に引きこもってずっとアルコールを飲んでいたからしょうがないですね」と半ばあきらめたようにおっしゃっていたことがとても印象的でした。当院の内科入院の患者さんの中にはアルコール問題を抱えている方が多くいます。お酒のせいで仕事をなくし、家族をなくし、最終的には命を亡くす方を多くみてきました。

 回復する方もいる

 飲酒が辞められずに亡くなっていく方も多いですが、断酒を継続し仕事に復帰し、家族関係も以前の様に回復した方もいます。

 千鳥橋病院は内科中心の総合病院です。全国的には珍しく、1988年から菊陽病院(熊本の精神科の病院)の医師の協力を得てアルコール外来診療を行ってきました。

 私は、内科医ですが、菊陽病院での精神科の研修を経て2007年頃からアルコール外来に関わっています。

 アルコール依存症は、患者さんの人格や根性の問題ではなく、「病気」です。患者さん自身が、アルコールのことについて学び、自身の飲酒が大きな問題であることを自覚し、断酒への道に突きすすんでいかなければなりません。また、自力だけではなかなか回復ができない病気です。本人・家族・周囲の方のアルコール依存症に対する理解と協力が必要です。

 外来では、軽症のアルコール依存症患者さんの定期診療、専門病院退院後の方のフォローアップを行っています。また、全身状態が悪化し体のためにも入院が必要な場合は短期のアルコール解毒入院も行っています。

 重症の患者さんはやはりアルコールリハビリプログラムのある専門病院への入院が望ましいです。必要時紹介を行っています。AAや断酒会といった自助グループの紹介も外来で行っています。医療ソーシャルワーカーもかかわっており、仕事のこと保険のことお金のことさまざまな問題をサポートしてくれます。お気軽にご相談ください。

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